NHKの採用の難易度や採用倍率をご紹介します。
テレビ局、放送局は人気の就職先ですが、民放局と比べるとNHKはちょっと就活の感触が違います。
元フジテレビアナウンサーで現在はフリーアナウンサーの加藤綾子さんも、NHKは書類選考落ちだったそうです。
NHKは営利を目的としない公共放送ですから、求める人物像が民放局とは違います。
NHKに入社する難易度や倍率、年収、社員さんの評判などを調べました。
それでは、さっそく見ていきましょう(^^)
目次
NHKの採用の難易度と倍率
テレビ局・放送局・マスコミを受ける学生は、フジテレビ、日本テレビ、TBS、テレビ朝日と合わせてNHKも受ける傾向にあります。
NHKの採用人数は、
- 2018年:361人
- 2017年:360人
- 2016年:336人
- 2015年:281人
となっており、4年間の平均は334人の採用です。
参考:NHK定期採用情報「募集人数・採用実績」
そして、NHKのエントリー数は約20000人と言われています。
NHKの採用倍率は、20000人÷334人=約60倍となっています。
ちなみに、他のテレビ局との採用倍率を比較すると、
です。
フジテレビの採用人数は約27人、日本テレビの採用人数は約15人と、かなり狭き門です。
しかし、NHKは334人の採用のため、採用倍率が民放局よりも下がります。
「どうしても民放局で働きたい!」という人は民放局を目指すべきですが、「テレビ局で働きたい!」という場合はNHKがねらい目です。
テレビ局の中では採用の難易度が低い方と言えます。
ただし、アナウンサーの募集人数は少ないため、採用倍率は60倍よりも高いです。
※アナウンサーの具体的な採用倍率は公表されていません。
地方局でのアナウンサー採用もあるため、民放局のアナウンサーの採用倍率よりは低いです。
NHKってどんな会社?
NHK(日本放送協会)は民放局とは違い、公共放送局です。
民放局のようにスポンサー企業からの広告収入ビジネスではなく、視聴者からの受信料が収入源です。
※イギリスのBBCと近いですね。
国際的にも有名な放送局で、世界各国に拠点を持っています。
※他の民放局は、NHKほど海外に多くの拠点はありません。
2017年12月の裁判で、NHKの受信料を払わないことは違憲行為と判決が下り、視聴者はNHKの受信料を払う義務があると明確化されました。
※賛否両論ありますが。
NHKとしては、今後も安定的に受信料収入を得られることが保証されたようなものでしょう。
NHKの事業収入
NHKの事業収入を調べてみました。
平成29年度は、
- 事業収益(売上):7204億円
- 事業収支差金(利益):230億円
となっています。
民法各局と比べると、
- フジテレビ:売上高6539億円、経常利益303億円
- 日本テレビ:売上高4167億円、経常利益581億円
- テレビ朝日:売上高2958億円、経常利益219億円
- TBS:売上高3619億円、経常利益269億円
となっており、売上高ではNHKが放送局1位です。
参考:日本放送協会決算「平成29年度決算」
その他のNHKの企業情報
その他のNHKの企業情報を見てみましょう。
- 従業員数:10,303人
- 従業員平均年齢:40.7歳
- 男性従業員平均年齢:41.3歳
- 女性従業員平均年齢:37.4歳
- 平均勤続年数:17.7年
- 男性平均勤続年数:18.7年
- 女性平均勤続年数:12.6年
- 年間の平均有給休暇取得日数:13.4日
- 月の平均残業時間:34.1時間
- 離職率:不明
となっています。
平均年齢が高いこと、平均勤続年数が長いことがわかりますね。
安定しており、離職する人は少ないと思われます。
参考:就職四季報
ちなみに、就活するときは必ず「就職四季報」を購入しましょう。
ネットに載っていない企業情報が書かれているので、企業分析に最適な本です。
NHKの福利厚生や休日・休暇
NHKの福利厚生や休日・休暇を調べてみました。
- 休日:完全週休2日制で、年間休日数は約120日ですが、有事のときは緊急の休日出勤もあります。
- 有給休暇:初年度は12日、2年目以降20日です。
- クリエイティブ休暇:1年で連続5日の休暇
- リフレッシュ休暇:10年、20年、30年勤続者に連続10日の休暇
- その他の休暇:結婚休暇、産前産後休暇、母性保護休暇、妻出産休暇、看護休暇、介護休暇、積立休暇など
- 育児休職:子が満2歳に達する日まで、男性も女性も取得可能
- 介護休職:通算して1年以内であれば取得可能
- 配偶者同行休職:配偶者の外国勤務に同行したときは、3年以内で取得可能
となっています。
一般的、平均的な福利厚生、休みと言えます。
ただし、放送局ですので土日祝が固定で休みというわけではありません。
NHKの募集職種
NHKの募集職種を見てみましょう。
- ディレクター
- アナウンサー
- 音響デザイナー
- 映像デザイナー
- 記者
- ニュース映像制作
- 報道カメラマン
- 放送管理
- 営業企画
- コンテンツ制作技術
- 放送システム開発・運用
- 放送技術研究
- 情報システム技術
- 建築技術
です。
NHKの定期採用情報の「おシゴトレンジャー」がもっともわかりやすいので、見てみてください。
参考:NHK定期採用情報「おシゴトレンジャー」
職種によっては、理系で専門的な勉強をしていないと採用されないものもあります。
NHKの採用実績校
NHKの採用実績校を調べました。
- 早稲田大学
- 慶応義塾大学
- 東京大学
- 明治大学
- 京都大学
- 法政大学
- 同志社大学
- 東京工業大学
- 中央大学
- 立教大学
- 筑波大学
- 一橋大学
- 上智大学
- 東北大学
- 立命館大学
- 神戸大学
- 大阪大学
- 名古屋大学
- 青山学院大学
- 日本大学
- 東京外語大学
- お茶の水女子大学
- 熊本大学
- 広島大学
- 九州大学
- 芝浦工業大学
- 横浜国立大学
- 千葉大学
- 東京芸術大学
- 津田塾大学
- 横浜市立大学
- 電気通信大学
- 首都大学
- 東京都市大学
- 大阪教育大学
- 関西大学
です。
難関国立大学、MARCHなど学歴レベルの高い大学からの採用が多いですが、それ以外の大学出身者も採用しているようです。
民放局よりも採用倍率が低い点などを考えても、そこまで厳しい学歴フィルターではなさそうですね。
NHKの転職の難易度は?
NHKではキャリア採用を行っているようです。
記者やディレクター、カメラマン、映像制作などの募集を行っています。
社会人経験があれば応募できるみたいですね。
参考「NHKキャリア採用情報」
転職の難易度はそこまで高くありません。
NHKの年収
NHKは平均年収を公表していませんが、平均年収は1000万円くらいと想定されます。
NHKの年収は年功序列のため、勤続年数が増えるほど給料は上がります。
ただし、全員一律の給料ではなく、職種によって給料が違います。
若手のうちでも給料が高いのは、
- 記者
- ディレクター
- 営業企画
- 放送管理
などです。
NHKの年収のおおよその内訳は、
- 基本給:40%
- 残業代:25%
- ボーナス:25%
- 手当:10%
くらいです。
※もちろん、職種、年齢、個人業績によって変化しますので、あくまでも参考値です。
記者の世代別の平均年収
記者職の世代別の平均年収を調べました。
- 20代前半:400万~600万円
- 20代後半:600万~800万円
- 30代:800万~900万円
- 40代(管理職):1000万~1200万円
- 50代(管理職):1000万~1200万円
となっています。
ディレクターの世代別の平均年収
ディレクターの世代別の平均年収を調べてみました。
- 20代:500万~600万円
- 30代:800万~900万円
- 40代(管理職):1000万~1200万円
- 50代(管理職):1000万~1200万円
となっています。
営業企画の世代別の平均年収
営業企画の世代別の平均年収を調べてみました。
- 20代前半:400万~500万円
- 20代後半:500万~600万円
- 30代:600万~800万円
- 40代(管理職):1000万~1200万円
- 50代(管理職):1000万~1200万円
となっています。
放送管理の世代別の平均年収
放送管理の世代別の平均年収を調べてみました。
- 20代前半:400万~500万円
- 20代後半:500万~600万円
- 30代:600万~700万円
- 40代(管理職):1000万~1200万円
- 50代(管理職):1000万~1200万円
となっています。
平均年収と特徴
NHKの平均年収1000万円の算出根拠は、キャリアの折り返し地点である40代前半時点での平均年収を参考にしています。
民法各局の平均年収は、
- 日本テレビホールディングス:1461万円
- TBSホールディングス:1632万円
- テレビ朝日ホールディングス:1376万円
- テレビ東京ホールディングス:1392万円
くらいですので、NHKは民法各局よりも年収が低いと言えます。
参考「日本テレビホールディングス有価証券報告書」「TBSホールディングス有価証券報告書」「テレビ朝日ホールディングス有価証券報告書」「テレビ東京ホールディングス有価証券報告書」
NHKの初任給
NHKの初任給は、東京職員と地域職員で違います。
東京職員の初任給は、
- 大学院卒:月給226,360円
- 大学卒:月給213,360円
です。
地域職員の初任給は、
- 大学院卒:月給193,090円
- 大学卒:月給182,690円
- 短大・専門学校卒:月給161,930円
となっています。
ちなみに、昇給は年1回、ボーナスは年2回です。
定年は60歳です。
NHKの選考フロー
NHKの選考フローは、
- エントリーシート、書類選考
- 筆記試験(一般教養、適性検査、論述等)
- 一次面接
- 二次面接
- 三次面接
- 内定
となっています。
NHKの筆記試験
②筆記試験は全国47都道府県にあるテストセンターとWEBによる適性検査等の受検です。
筆記試験の内容は、SPI、一般教養、英語、論文などです。
技術職の筆記試験内容は技術関連時事・数学・物理・電気回路・電子回路・電磁気学・情報理論などです。
NHKの採用の特徴は、職種ごとに採用していることです。
民放各局は職種関係なく一括で募集を行いますが、NHKは職種ごとに採用しています。
参考:NHK定期採用情報「選考スケジュール」
エントリーシート
NHKのエントリーシートは手書きです。
誤字脱字がないようにするのはもちろん、きれいな字で書きましょう。
エントリーシートの質問項目は、
- 志望動機
- 最近気になっているニュース
- マスコミはどうあるべきか?
- NHKらしさとは?
などです。
採用面接では、エントリーシートに沿った質問がきますので、採用面接を想定してエントリーシートを書きましょう。
NHKの採用面接
NHKの採用面接の特徴をまとめました。
きちんと答えられるように準備しておきましょう。
筆記試験の翌日に一次面接
筆記試験の翌日に一次面接があるため、きちんと面接の準備をしておきましょう。
NHKの一次面接は個人面接で、面接時間は30分です。
一次面接は希望する職種の上司が行うことがほとんどです。
当たり前ですが、希望職種については徹底的に研究しておきましょう。
採用面接で聞かれること
NHKの採用面接で聞かれることをまとめました。
- 好きなNHKの番組は?→「それなら民法でもいいのでは?」と聞かれる
- NHKの問題点は?
- テレビと新聞の違い
- 最近気になるニュースは?それをNHKはどう取り上げていて、自分はどう思うのか?
- NHKで何をやりたい?なぜやりたい?
などです。
面接では「NHKで何をやりたいか?」を中心に聞かれます。
「誰に向けて、何をやりたいのか?なぜやりたいのか?」を深掘りされます。
面接では一度否定されるので、Yes,but~の形式で答えましょう。
「好きなNHKの番組は?」の質問に、あさイチやLIFE!などバラエティ色が強い番組をあげると「じゃあ、民法でもいいんじゃない?」と反論が返ってきます。
クローズアップ現代などがおすすめです。
NHKの面接は、民法各局の面接よりも話を聞いてくれる傾向にあります。
わかりやすく、簡潔に、自分の言葉で伝えましょう。
ただし、最終面接だけはどんどん質問がくるので、焦らず矛盾のないようにきちんと答えましょう。
結局は、面接官と共通の話題がどれくらいあるか、面接官が面白がるかがすべてです。
インターン
テレビ局はインターンへの参加は絶対です。
インターンの種類は、
- 放送技術インターンシップ
- 報道記者インターンシップ
- 番組制作インターンシップ
- 放送事業マネジメントインターンシップ
- 映像ジャーナリストインターンシップ
があります。
インターンは夏と冬にあり、参加人数は未定です。
OB・OG訪問は必ず行いましょう。
希望職種の質問を徹底的にしておくことが重要です。
ちなみに、OB・OG訪問をするときは、名刺管理アプリ「Eight」をスマホに入れておきましょう。
企業の人と名刺交換することがあるので、アプリで名刺を一括管理すると楽です。
「名刺なくした!」というトラブルもなくなるので、必ずアプリをダウンロードしておいてください。
NHKの評判や口コミ
NHK職員さんの評判や口コミをまとめてみました。
就活の参考にしてください。
信頼と資金力がある
NHKは世界的に知名度の高い放送局です。
海外での取材交渉は、日本の民法各局よりもスムーズです。
海外拠点も多いため、機動力が高いです。
資金力もあるため、撮影機材は国内テレビ局の中でNo.1です。
広告収入の民法と違い、受信料収入は景気に左右されないことが資金力の強さになっています。
番組予算も他局より多いのが特徴です。
転勤がある
全国や海外への転勤が多いです。
3~5年に一度転勤があるようです。
NHKは拠点が多いため、転勤は仕方ありません。
歴史ある企業体質
公共放送ということや歴史があることから、企業文化は少し古い部分もあるようです。
部署によっては保守的で、公務員のような気質があります。
キャリアプランも年功序列です。
職種によってはクリエイティブで挑戦的
職種によってはクリエイティブで挑戦的な思考を求められる仕事もあります。
特に、
- 放送現場
- ディレクター
- 記者
- 制作
はクリエイティブさが求められる仕事です。
女性の管理職登用に積極的
NHKは女性職員の管理職登用に積極的です。
産休、育休はとりやすい風土のようです。
また、産休や育休取得が出世に影響することはないようです。
育休後に復職する人も多く、時短勤務制度もあります。
ワークライフバランス
NHKでは働き方改革が進み、残業させないように、休日出勤させないようにはしています。
ですが、放送局という事業である以上、残業や休日出勤は避けられません。
記者、報道、ディレクター、制作などは、有事のときは休日出勤もやむを得ません。
政治が大きく変わるときや、震災が発生したときこそ、放送局として役目を果たすときです。
どこのテレビ局でも同じですが、深夜残業、徹夜作業、長期間の連続勤務はさけられません。
それでも「テレビの仕事をしたい!」「NHKで働きたい!」という本気の人しか続かない仕事です。
まとめ
NHKの採用の難易度は決して低くはありません。
採用倍率は約60倍で、民放各局よりは低い倍率ですが、超安定企業ということもあり人気があります。
※そもそも、採用倍率60倍はけっこう難関企業です。
「自分はなぜNHKに就職したいのか?」が相当明確でないと採用されないでしょう。
まずは、きちんと自己分析をするところから始めましょう。
あなたの就職活動の役にたてば嬉しいです(^^)